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道三

 投稿者:余湖  投稿日:2020年 1月29日(水)04時14分47秒
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  平幹二朗の演じる斎藤道三は、子供心にも「これが英雄なんだなあ」と思えるくらい、聡明で人望のある素晴らしい人物であった。

平幹二朗といえば、3年前の『樅の木は残った』で主人公の原田甲斐を演じており、その重厚な演技はやはり印象に残るものであった。わずか3年というスパンで、同じ役者が大河ドラマの主人公を演じたというのは、平幹二朗だけであろう。それだけ役者としての実力が認められていたのだと思う。

齋藤道三といえば、松永弾正、宇喜多直家と並んで、戦国の三悪人などと呼ばれている。しかし、『国盗り物語』の印象のせいか、どうしても道三が悪人だったとは思われないのである。

確かに、さまざまな陰謀を用いて美濃一国の主にのし上がって行くのだが、それがいかにもカラッとしていて明るく、英湯的な行動のように描かれていて、彼の行動にまったく疑問を感じることはなかった。

ただ、大人になってたまたまテレビ新潟で再放送された総集編を見た時には「この人って女性を踏み台にして、いいように利用しているんだなあ」と感じたりした。

お万阿とか、深芳野なんかは、ただただ道三に利用された人生を送ったようなものである。でもどちらも素敵な女性であったのだが。この2人については、後でまた書いてみたい。

道三編の最後の方では、道三が死んでほしくないとひたすら祈っていた。なんとか生き延びてくれないかと。

家族に「道三、死なないよね」と子供の私は何度も訴えていたものだったが、家族は無情にも「こいつは、子供に殺されて死ぬんだよ」と確定的に答えていたので、私は絶望的な気分になってしまっていた。

すでに起こってしまった歴史を変えることはできないのは分かっている。でも、どうにかして、道三が生き延びてくれないかと思い続けていた。

だが、状況は次第に道三を追い詰めていき、私はどんどん沈鬱な気分になってしまっていた。

道三の死が描かれたのは、ゴールデンウイークが終わったころの時期であったことを今でもよく覚えている。

道三を討ち取った小牧源太を演じていたのは小林昭二であった。

「おやじさん、やめてくれ!」と私は思わず叫んでいた。

小林昭二といえば、仮面ライダーのおやじさんや、科学特捜隊のムラマツ隊長などを演じた人物であり、子供にとっては、正義の味方というイメージの強い人だったのである。そんな人がなぜ道三のような立派な人物を殺してしまうのか。

その頃信長は、長良川まで道三救援のため出陣しており、「マムシ、死ぬな!」と叫んでいるシーンが心に残っている。なんとか信長が救出してくれないのか。

しかし、道三は死んでしまった。私はとても悲しい気分になった。家族もみんな沈黙してテレビの画面を見守っていた。

道三が死ぬと、明智一族も没落して、光秀は放浪の旅にでることになる。

その後に描かれた桶狭間の合戦では「信長もとうとう道三の弟子らしいことをやってのけた」と感動したものである。

大人になって「美濃一国譲り状」という文書が実際に残っていることを知った。司馬遼太郎が『国盗り物語』を描くことになったコンセプトは、ここにあったんだろうなあと思った。
 
 
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